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瀬戸内芸術祭 ムニール・ファトゥミの新作「実話に基づく」

瀬戸内芸術祭 ムニール・ファトゥミの新作「実話に基づく」

2022/04/18

瀬戸内国際芸術祭にムニール・ファトゥミの新作が生まれた。粟島の廃校に続き、今回は宇野港エリアの三宅医院という、40年間使われていなかったクリニックが舞台。手術室や薬剤室などの部屋に約20年前にフランスで制作された映像が流れる。これは”Architecture Now!”というビデオ作品で、第一次大戦後に多数の異なる民族が住みついたアパートが壊される様子を作品化したものだ。2000年から2005年までに制作された15編のビデオと2004年の16点の写真作品から構成される。コロナ禍で作家の来日は叶わなかったが、遠くフランスの地から、この世界に「住む」、住み続けることについて廃屋のインスタレーションを通じて問いかけている。

この作品は現代の社会状況を鋭く切り取るファトゥミらしい作品となっている。ファトゥミはモロッコ出身でフランスで長く活動しているが、常に西洋文化のアウトサイダー的な視点を持ち続け、宗教・教育・政治等に深く根差した作品をインスタレーションやビデオで制作している。医療を題材にしたことも歴史的なアプローチで作品をつくったことがあり、アートフロントギャラリーでは昨年春に展示し、好評を博した。

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