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大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015 リポート No.9 - 磯辺行久
人々は自然とどのように折り合いをつけてきたのか、人々と自然のかかわりの歴史は、地域の近代化を支えてきた農業基盤整備や土木事業に着目することでみえてきます。「土石流のモニュメント」のテーマは、2つの要素から成り立ちます。
photo Ishizuka Gentaro
1)土石流の痕跡を表す。
津南町辰ノ口に最新式のセル式砂防ダム(砂防堰堤)が作られました。
2011年3月12日長野県北部地震に伴い、山腹斜面が崩壊、下流の積雪や土砂を巻き込んで土石流となって硫下し、長さ100メ-トルにわたり、国道353号を埋没させました。その後、同年 4月にも融雪・降雨により2回目の拡大崩壊が発生し、国道を16万平方メートルの土砂が最大厚15メ-トル堆積しました。このセル式砂防ダムは将来起こりうる土石流を防ぐ目的で造った新潟県の土木事業です。
磯辺行久はこの地を舞台に土石流の痕跡の視覚化を試みました。高さ3メートルの黄色いポール約280本を設置し、土石流の痕跡を表現しました。大勢の地元の集落の人々が参加しました。
photo Ishizuka Gentaro
2)越後妻有・土木フィールドミュージアム
敷地内の小屋には、妻有地域の地図に土木事業をポイントと写真を掲載し、この地域の特色を表しています。又、制作過程の動画を映写しています。
越後妻有では、水力発電、砂防ダム、スノーシェッド、橋梁、トンネル、道路、雪崩防止柵などといった公共事業によって、生活が成り立ってきました。さらに、棚田、瀬替え、マブ、砂防ダム、堰、洪水、豪雪、雪崩、土砂崩れなど、この地域独特の事象から、自然と人とのかかわりを体感することができます。そして、ここは、今後の越後妻有・土木フィールドミュージアム構想の出発点となります。
(レポート 奥野恵, reported by Kei Okuno, Art Front Gallery)
大地の芸術祭のパスポートは東京事務局、代官山のアートフロントギャラリーでも販売しております。ガイドブックと合わせ出発前に手に入れて事前に計画を練って行かれると効率よく廻れます。