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現在、代官山蔦屋書店では奥能登国際芸術祭の特別展示「奥能登国際芸術祭 さいはての最先端」を開催しています。 今回は、同展示より注目アーティスト岩崎貴宏の作品をご紹介します。
「テクトニック・モデル(森崎和江『能登早春紀行』・宮本輝『幻の光』)」 2017年 本
この作品は、本の閉じ紐をほどいてクレーンに仕立てた精巧な作品です。 代官山蔦屋書店では作品販売もございますので、是非お立ち寄りください。
奥能登国際芸術祭展示作品:「小海の半島の旧家の大海」2017年塩、刺身トレー、漂流物、民芸品、家具撮影:中乃波木座敷全体に広がるのは大量の塩です。手前には、見附島をかたどった塩の塊、奥座敷には、ふすまの山水画や漂流物だけで出来た街並があり、中国や韓国といった海を挟んだお隣の対岸に見えます。海上には鮮魚トレーから作られた漁船がポツリと浮いています。この座敷全体が内海とも言える凝縮された日本海です。土間から覗く広大な海景は、式台に上がると一気に縮減して、枯山水のような小さな庭園にも見えてきます。回廊を廻り視点を変えると、日本各地の民芸品を大量に乗せた飾り棚が見えてきます。飾り棚はまるで波をきって進む交易船や、神様を大量に乗せ、神棚に参拝する宝船のようです。海は、時に豊かな文化や資源を、時に必要の無い漂流物を乗せ、良くも悪くも大きな内海として様々な事物をシャッフルさせ、常に新しい視点を私たちに与えてくれます。‐作家制作ノートより‐制作リサーチで昨年初めて珠洲市に来た。候補地となるこの古民家を見て、空間の面白さに惹かれここで展示がしたいと感じた。久しぶりの古民家は、まさに「木と草と紙」で作られた家だった。足を踏み入れると、自然あふれる外から入ってきたのに、内側でもう一度、草木の自然に出会う感じがした。ふすまに描かれた山水画、障子やガラス戸が外光をやわらかく内に導いてくる事からも内外の繋がりを感じた。決定的だったのは土間の天井にツバメの巣があり、外側と内側が曖昧だと実感した。もう一点、面白いと思ったのは、座敷が舞台のように少し高い位置にあり、廊下によってぐるりと囲われている事だった。内部空間は、まるで演劇を外から覗かせてもらっているような感覚だった。表座敷から奥座敷まで視点がジグザグ交差しながら進む心地よさもあった。視線を上下左右に揺らしながら、内部に外の風景を内在させる古民家に、奥能登から見る風景を入れ込みたいと思った。塩田で見た塩は、海を熱し極限まで圧縮・縮減させた凝固物であると実感し、海岸に流れ着いた異国の漂流物の多さは、目に見えない対岸の国々の近さをまざまざと感じさせた。人の目線の高さで見た日本海の広大さに惑わされるが、本質はもっと小さなものなのではと思った。グーグルアースで見ると日本海と奥能登は、プールに突き出た飛び込み台の先端にも見えた。かつては様々な文化が行き交い、現在は対岸からミサイルが一方的に飛んできたりする。こちらとあちらで囲われた日本海という池を古民家の内側に展開させた。鍵もなく自由にスライドし、時に取り外して空間のサイズを変化させるふすまや障子は、私たちの精神性に影響を与えているように思う。時に狭く閉ざしたり、時におおらかに開いたりと。作品内の障子をよく見ると、波を切って動いている。2017. 9 岩崎貴宏■奥能登国際芸術祭 さいはての最先端会期:2017年8月21日~10月22日 会場:代官山蔦屋書店 2号館 2階 anjin café展示作品の販売もございます。展示作家:岩崎貴宏、角文平、河口龍夫、キジマ真紀、鴻池朋子、さわひらき、トビアス・レーベルガー、南条嘉毅、眞壁陸二、ラックス・メディア・コレクティブ奥能登国際芸術祭公式ウェブサイト
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