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【インタビュー】安野太郎 : アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」
安野太郎 : アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」、展示風景、2020

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【インタビュー】安野太郎 : アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」

現在、個展を開催中の安野太郎に本展に込めた想いを語って頂きました。

「アンリアライズド」というタイトルの意味とは?「ゾンビ音楽」とは?展示風景と共にご紹介いたします。

アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」に寄せて
2020年1月10日 安野太郎


本展覧会は僕個人にとっては初めてのギャラリーでの個展となります。

 アンビルド・アーキテクチャーがあるのなら、アンリアライズド・コンポジションがあっても良いのではないか?あいちトリエンナーレでの文化庁による助成金打ち切りのような事件以降、アーティストやアート関係者が何か新しい企画を立てるにしても、どこか自粛してしまうような力が表現を行う者達が吸う空気に対して働いてしまっているかも知れない。だから、もはや実現する作品、実現しようとする作品は、「所詮、実現してしまう作品」に格下げさせられてしまうのではないか?という問題意識から、実現しない作曲(アンリアライズド・コンポジション)の実践を本個展で行っています。

展示されているものは、主に東京2020オリンピックの開会式に行われるファンファーレのプラン、スコア(楽譜)と、2025年の大阪・関西万博を寿ぐパフォーマンスのプランとスコアです。2つのプランに通底しているアイデアは、2015年の「ゾンビオペラ」(フェスティバル/トーキョー15)に始まり、その後2017年に作曲された「大霊廟Ⅰ」(岐阜県美術館)と「大霊廟Ⅱ」(BankART)から続くものなので、これらの記録映像も常に上映しています。

《東京2020オリンピックファンファーレ案》、2020


僕は2012年から「ゾンビ音楽」と呼ぶ、自作の自動演奏機械による音楽を実践してきました。はじめは人間がやるには難しいような、演奏のアイデアを機械によって実現してみるという、ささやかな創作欲から生まれた「ゾンビ音楽」でしたが、やがて12台の楽器や足踏みふいごなど実践の規模が大きくなりました。

《THE MAUSOLEUM I『大霊廟I』》、2017、「ぎふ清流の国芸術祭 Art Award In the Cube 2017」岐阜県美術館、撮影:池田秦教


規模が大きくなって気づいたことは、一体この制作の欲望はどこからきているのかということでした。僕は自分の欲望に突き動かされてテクノロジーを駆使した制作を行っていましたが、いつしかテクノロジーの方に欲望があって、その欲望に突き動かされて自分が動いているのではないかと考えるようになりました。本個展においても、人類のテクノロジーにまつわる欲望や欲動がテーマとなって、作品の様々な部分に散りばめられています。


展覧会の最終日、2月2日(日)には安野太郎によるパフォーマンスも予定。是非、ご高覧ください。



安野太郎 個展 : アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」
2020年1月10日(金)– 2月2日(日)
パフォーマンス 2月2日(日)16:00 - 17:00

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