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栗山斉 作品紹介 vol.1 : 内なる無限の宇宙

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栗山斉 作品紹介 vol.1 : 内なる無限の宇宙

ギャラリー

現在開催中の栗山斉の個展「内なる無限の宇宙 」。ダイナミックに輝くその様子は道行人々の足を止め、たくさんの方の興味を惹きつけています。

ここでは、20点余りの最新作から一部を作家のコンセプトとともに作品を紹介します。

"0=1 -another"
2019
蛍光灯、ステンレス内部皮膜ガラス管、ガラス鏡、電線
H2700 × W6000 × D6200mm


我々は別の宇宙の産物なのかもしれない。

自然界において、「無限」という概念が成立し得ないことから、密度が無限大、且つ大きさが無限小であり、あらゆる物質や光を取り込む「特異点」は存在し得ない。

そこで一つの仮説を立ててみる。

ある宇宙において、極めて高密度だが、有限な大きさをもつ粒の中に質量とエネルギーが押し込められると、それが別の宇宙に吐き出されて、新たな星々を形成するのだと。

つまり、ある宇宙が別の宇宙を生み出し、さらにそこから新たな宇宙が生み出されるのである。

「消滅」や「崩壊」という事象が別の宇宙においては「生成」や「創造」ということになる。

鏡に映し出される無数の虚像や反射する光の広がりによって、別の宇宙が幾重にも生み出されていく様を表している。

"真空の種"
2019
ボロシリケイトガラス、鉛ガラス、1×10⁻⁵ Paの真空、ステンレス、アクリル、LED
H320 × W300 × D300 mm


「無」からは何も生じないのだろうか?

真空は宇宙を生み出すほどの無限のポテンシャルを有している。

真空にみつるものと種子に秘められた発芽のエネルギーの類似性に着目し、新宇宙の可能性が内在する種をイメージした。

天球儀を模した容器の中には内部が高真空状態になった種型のガラスが充たされている。

これら一つ一つの種が宇宙へと変貌を遂げ、多元的で混沌とした世界を形成する様を想起してみたい。

"0=1 -filament blue"
2019
タイプCプリント


それは消失なのか、それとも発生と呼ぶべきなのか?

暗室内でタングステンフィラメントに過電流を流すと、見えなかったフィラメントが強い光を発して焼け切れる。

その光の残像はしばらくの間、目に焼き付けられる。

銀塩写真の印画紙はその一瞬の光の痕跡をイメージとして記録し、表出させる。

まるでフィラメントが網目状に広がる宇宙の大規模構造が可視化されるかのように。

その一瞬は消失であり、発生でもある、両義的な事象として捉えられる。


栗山斉 個展 : 内なる無限の宇宙
2019年12月6日(金) – 12月22日(日)























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