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市原湖畔美術館オープン記念企画 : 磯辺行久展

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市原湖畔美術館オープン記念企画 : 磯辺行久展

2013. 8. 3 (土) - 11. 4 (月祝) *月曜休館

千葉県「市原市水と彫刻の丘」が約2年の改修工事を経て この夏、「市原湖畔美術館」としてリニューアルオープンします。

オープニング記念企画展 「磯辺行久 -環境・イメージ・表現-」
日程 2013. 8. 3 (土) - 11. 4 (月祝) *月曜休館
会場 市原湖畔美術館(千葉県市原市不入75-1)
2014年春に開催される「いちはらアートxミックス」の舞台となる千葉県市原市。同イベントに先立ち、市の美術館、「市原市水と彫刻の丘」が名前も装いも新たに「市原湖畔美術館」として今年8月3日リニューアルオープンを迎えます。そのオープニング記念企画として「磯辺行久 -環境・イメージ・表現-」展が開催されます。

磯辺は戦後日本の前衛美術を代表する作家として「ワッペン」をモチーフとした作品群で60年代初頭に注目を集めながら、突如その作家活動を中断し、渡米します。アメリカではエコロジカル・プランニングを学びそれをベースとした仕事をしていました。それから歳月を経て、環境の変化などをテーマとする作家として2000年の大地の芸術祭への参加など、そのアーティストとしての活動を再開しています。同展は東京都現代美術館での回顧展以来、6年ぶりの国内美術館での個展となります。初期作品群から1960年代の代表的なワッペンの作品群、そして大規模な新作を含む近年の環境問題に取り組んだ作品で構成されており、二つの活動期間の間にあるアーティストとしての活動の空白の意味を示唆する展示となります。

1960年代は個としての独自性が評価され、アヴァンギャルドに「見える」物質としての作品、あるいはアーティストの個としての行為が重視された時代であったと言えます。磯辺の60年代の作品はもちろん個性的な表現として評価されたものでした。しかしながら、磯辺は商業的なラベルや家紋などの紋章を収集、整理区分し、再提示することで差異や反復を見せる、むしろ本質的には個を排除することを基盤としていた特殊な作家であったといえます。再提示する際の取捨選択、作品としての表現において、その反復のズレが単なる事実の列記でないモノとして作品を優れた作品たらしめていたと考えられます。近年の都市の環境をテーマとしたエコロジカル・プランニングをテーマとした作品群も、実は60年代の氏の仕事と同じ基盤に立っており、それぞれの場の地理、風土、歴史を情報として集約、整理したうえで作家の表現として再構築する仕事であるという意味では、60年代から脈々と続く作業と同じ地平にあるといえるのでしょう。

アートフロントギャラリーでは、市原湖畔美術館での展覧会と並行して、作家の現代まで続く制作活動の手掛かりとして1960年代に作家が収集したラベルをコラージュして制作した未発表作品を展示するほか、初期の代表的なワッペンのシリーズとその周辺にある版画やドローイングなどを中心に紹介します。本展はオジナリティーが最重要視されていた1960年時代のモダニズムのピークに、現代を読み解くキーワードのひとつ「反復」をアートに持ち込み得た異端の作家、磯辺行久の作品を改めて見直していただくチャンスとなると思います。

アートフロントギャラリー 近藤俊郎



【同時開催】
「磯辺行久-その表現の源泉」展
2013年8月9日(金)-8月25日(日)*月曜および8/15-8/19休み
アートフロントギャラリー(東京都渋谷区猿楽町29-18ヒルサイドテラスA棟)

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