プロジェクトProject

作家インタビュー:ミゲル・ストーリー
ミゲル・アキリザン

  • 作家インタビュー:ミゲル・ストーリー

サムネイルをクリックすると、拡大表示します。

作家インタビュー:ミゲル・ストーリー

現在、アートフロントギャラリーで日本での初個展を開催中の作家ミゲル・アキリザン。
彼は、アーティストのほか、スタイリストやDJ, ファッションモデル、パンク系バンドのボーカリストなど多彩な顔を持っています。

幅広い活動を行いながらも常にアートのヒントを捜しながら街を歩くミゲル。今回、約10年ぶりに帰郷したフィリピンのマニラでの生活を語ってくれました。

"HEIRLOOM"
8. 10, 2013 - 9. 3, 2013 / The Drawing Room、フィリピン

「例えばこの作品はオーストラリアで最初につくったもので、鹿の骨や頭蓋骨を組み合わせて新たな意味を持たせています。初めのころは家に代々伝わってきたお宝などを探し出して使ってみていたんだ。いわゆるアンティークなものとかね。」

"SOFT POWER"
2013 / 銀メッキのティーポット、ボーンチャイナの皿、動物の革製のドラム、ガラス、青銅のビーズのネックレス、革、金具

「ティーポットやボーンチャイナのお皿、ネックレスなどを皮紐で縛りつけることで、モノ同士の間に緊張感を創り出せると考えています。これらは使い方がわかっているけど、日本から来たモノの中にはそれが何なのか、どんな機能があるのか見ただけではわからないものもあるね。でも本来そのモノが持っていた機能とは違うかたちで甦らせる、復活させるのがこのコラージュの方法の魅力だと思っているよ。」

「これは、フィリピンにあるフルーツファクトリーです。両親(アルフレド&イザベル)が古い工場を買ってレノベ―ションして作った場所で、アーティストたちのレジデンスになっています。この写真は私の制作スペースで、散らばっているオブジェの中には日本から来たものもあり、こうした沢山のモノの中から、いつでもピックアップできるようにしています。」

「時には集めたものを切ったり縫ったりもします。細かい作業が大好きで、ディテールを構成していくうちに、そのモノたちの背後にある物語性が見えてきたりしてね。」

"Mutation N°2" / 2019

(今回展示されている日本人形を模した作品にも、スパンコールのように貝殻が花型ビーズが縫い付けられ、文化のルーツが複数あることが感じ取れます。)

ジャパン・サープラス、フィリピン

「実際、フィリピンの街中には日本でいらなくなったモノを売っているアウトレットみたいなお店があります。そんなところをぶらぶらして、よくわからないけど面白そうなものを集めて組み合わせていきます。」

Nanay Clarita`s Store、マニラ、フィリピン

「このお店はフィリピンの伝統的なものを販売しているところで、魔除けになるようなお守りとか、何か迷信のために使われるようなモノを売っています。フィリピンの文化にはまだまだ古くから皆が信じているストーリが残っているね。」

アイビエンナーレ2019 / ホノルル、ハワイ

「これは着物をベースにした作品で、ハワイのアイビエンナーレに出品した作品。様々なモノを組み合わせることで、一つの文化に固執しない、混在する文化の様相を表現できればと思い制作しました。」

"A PILGRIMAGE; SOULS RETRIEVED, CEREMONIES CONSTRUCTED"
5. 12, 2018 - 6. 5, 2018 / The Drawing Room、フィリピン



フィリピンの多重文化を背負い、移住先のオーストラリアや日本との往来を通して、軽々と国境を飛び越えていくミゲルの作品。彼が選んだモノ達は、本来の文脈から切り離されて、新たな組み合わせ・新たな意味を担い、今回ギャラリーに展示されています。
同じオブジェ・コラージュでも、両親であるアルフレド&イザベル・アキリザンとはまた一味違う、若いホットなセンスをどうぞお楽しみください。



ミゲル・アキリザン : Lost and Found
@ Art Front Gallery
2019年6月19日(水) - 8 月 4 日(日)



ミゲル・アキリザン(1986年、マニラ生まれ)
フィリピン北部のラグーナにあるロス・バニョスで活動。
「フルーツジュースファクトリー」を拠点に、先祖伝来のお宝や、自ら漁ったり発見したりしたモノを組み合わせて作品を制作。作品を通して問いかける社会問題は、移動や移住、文化的アイデンティティなど。一見ユーモラスな作品の様相が、実は見えない国境を越えた問題と密接に結びついている。両親がフィリピンからオーストラリアに移住した理由の一つに子供達の教育問題があったが、彼はグリフィス大学とクイーンズランド美術大学(ブリスベーン)を卒業し、ジュエリー制作の資格も持つ。多彩なバックグラウンドを活かして複数のルーツを示唆す るような制作活動を展開。

トップに戻る