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春爛漫 - ポップ&モダン:作品解説(陶芸編)

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春爛漫 - ポップ&モダン:作品解説(陶芸編)

現在開催中の「春爛漫 - ポップ&モダン」展。本展は陶磁器、ガラス、漆、竹など、多種多様な素材・コンセプトを用いて表現する13名の作家によるグループ展です。世代も、地域も異なる作家たちの60点余りの作品群より、植葉香澄、三浦義広、大槻智子の作品を作家のコメントと共にご紹介します。

植葉香澄「Chimera Evolution (犬)」/ 61.6 x 40.6 x 30.3cm / 陶土 / photo by Takeru Korota


植葉香澄コメント
私は自分が好きな動物、好きなモチーフをミックスさせて架空の動物をつくっています。今回はキメラエボリューションといって、ギリシャ神話に出てくる架空の動物であるキメラを「擬人化」したタイトルの作品を何点かつくりました。動物とはすぐにはわからないものがつくりたいと思い制作しました。「Chimera Evolution (犬)」は魚の上に犬が載っているようですが、見る角度によって舞妓さんが着物を着て立っているようにも見えます。見る人、見る角度によって異なる感じ方をしたり、ずっと見ていくうちに第一印象が変わっていくという事が面白いと感じています。

植葉香澄「Chimera Evolution(象)」/ 41.0 x 50.0 x 27.0cm / 陶土

「Chimera Evolution(象)」も、象の手が風を表していて、手がすぐにわからないようなものをつくっています。

植葉香澄「Chimera Evolution(部分)」photo by Takeru Korota

着物のモチーフを使うことが多いですが、斬新でデザイン化され面白いものが多いので、それを表面にまとっているという感じになっています。全部陶土を使って手びねりで成型しています。


三浦義広 「Monkey 3」/ 50.0 x 40.0 x 40.0cm / 陶土

三浦義広コメント
僕の制作の根幹には広隆寺の仏頭をみたときの体験があります。物体のもつ力そのものの大きさを感じました。

制作風景

僕は日常生活の風景をすべて図形でとらえます。図形で捉えたものを頭の中で、三角形のものを大きく引き伸ばしたり、三角形を四角形に変えてみたり、、、形の変化を試みています。そういう形の変化が僕の中で一種の絵画の退屈さを修復する行為でした。そうやってつくったものをやきものにして出しています。

三浦義広 「Monkey 2」/ 30.0 x 18.0 x 8.0cm / 陶土


なので、僕は動物をつくっているのですが、それらの動物はみんな「死んで」いるのです。もともとの興味が図形にしかないので、そこに命を吹き込んでいるのではないのです。つくったものをよく見てみると「死んでいるな」とか「時が停まっているな」といった印象を受けるかもしれませんが、だからこそ、物体の力をそこに感じる体験をしてもらえればと思います。


大槻智子「mushroom umbrella」/ 磁器土

大槻智子コメント
私は磁器土という石の粉を使ってそこに自分でガラスの粉などを混ぜ、透明感の出るようにつくりたいなと思って制作しています。やきものは窯の中に入れるので、一度手から離れるときがあるんですね。焼き上がり、窯をあけたときに思いもよらない色だったり、土がどろどろに溶けたり、歪んで出てきたり、そういう偶然なかたちも作品の一つとなるようにつくった作品がこのキノコの作品です。マッシュルームアンブレラといって、こんなキノコのカサがあったら面白いなと思ってつくりました。

大槻智子「Closet」40.0 x 21.0 x 21.0cm / 磁器土


「Closet」は、家の中のクローゼットというのはすごくプライベートな部分で面白い空間と思っていて題材にしました。これは私の母親をイメージした作品です。母のクローゼットを開けたらこんな感じで不思議なイメージですね。

大槻智子「mushroom umbrella」/ 磁器土

よく砂糖菓子のような作品といわれることが多いのですが、五感ですね、これは見たときに甘そうだとか辛そうだというようなイメージを持ってもらいたいと思って表現しています。私は名前が「さとこ」というのですが、生まれたときに「砂糖みたい」といったので「さとこ」という名前になっています。甘いものや砂糖に関してこだわりがあります。辛いものではなく、甘そうにみえる作品をつくりたいなと思い続けています。

(大槻智子さんの作品は代官山T-SITE anjin caféでもご覧いただけます。詳細はこちら



「春爛漫 - ポップ&モダン」展
2019年3月29日(金) – 4月28日(日)
詳細はこちら
是非、この機会にご覧ください。

【参加作家】
・金保洋 Hiroshi Kaneyasu(漆)
・神谷麻穂 Asaho Kamiya(陶)
・久野彩子 Ayako Kuno(真鍮/ブロンズ)
・三浦義広 Yoshihiro Miura(陶)
・中嶌真太 Shinta Nakajima(銅、銀メッキ)
・大槻智子 Satoko Ootsuki(陶磁)
・田村琢郎 Takuro Tamura(樹脂)
・塚田美登里 Midori Tsukada(ガラス)
・植葉香澄 Kasumi Ueba (陶)
・上田剛 Tsuyoshi Ueda(ブロンズ)
・植村宏木 Hiroki Uemura(ガラス)
・上野正夫 Masao Ueno(竹)
・横山翔平 Shohei Yokoyama(ガラス)








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