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ムニール・ファトミ作品紹介:Save Manhattan 03

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ムニール・ファトミ作品紹介:Save Manhattan 03

大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ

現在個展開催中のムニール・ファトミは、居を構えるフランスはもとより世界中で活動し、その作品が内包する強いメッセージ性から国際的に高い評価を得ているアーティストです。今回は彼のこれまでの名作のなかでも、最もインパクトの強いSave Manhattan 03 をご紹介します。

この作品は90個のスピーカーから成っており、壁に映しだされた影とともに9.11の悲劇を想起させます。スピーカーからは飛行機の離陸時の爆音やラジオ放送のほか、都会の喧騒がノイズとして流れ、失われた世界貿易センターのシンボリックなスカイラインのもとでの日常が、表面上は取り戻されているかのようです。

Manhattan 03は2007年にヴェニス・ビエンナーレで発表した作品で、多くの注目を集めました。ファトゥミの中ではニューヨークの街がゴーストに覆われている状況から救いたい、アーティストとして感じていることを何か形にしたいという勇気をもっていたことが伺われます。2004年には早くもSave Manhattan 01を本によって構成し、中央のセンター2棟はコーランで、その周囲は9.11に関係ある書籍で固めました。さらに2005年にはVHSテープを使って集団の記憶を彷彿とさせるようなバージョン、03の後にも同名のビデオ作品を発表しています。

Save Manhattan 01, 2014

ファトゥミがニューヨークの問題について深く、またある種の敬意をもって考えられるのは、もしかすると彼自身がまさにアウトサイダーであるからかもしれません。モロッコとフランスという二つの異なったアイデンティティを持ちながら、様々な文化を往き来し、旅しながら、我々にもう一つの見方、辺境からの見方を指示してくれるようです。現在ギャラリーで開催中のファトゥミの個展もこうした広い視点に支えられており、「ペリフェラル・ヴィジョン」展にぜひお越しいただければ幸いです。

ムニール・ファトゥミ個展 "Monir Fatmi: Peripheral Vision" はこちら

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