展覧会Exhibition

小野 耕石 個展
Hundred Layers of Colors.113 (部分)
Hundred Layers of Colors. 107
Hundred Layers of Colors. 107
size: 750 x 900 mm
medium: スクリーンプリント

  • 小野 耕石 個展
  • Hundred Layers of Colors. 107

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小野 耕石 個展

2017. 1. 6 (金) - 2. 5 (日)

この度アートフロントギャラリーでは、小野 耕石の個展を開催致します。
日程 2017. 1. 6 (金) - 2. 5 (日)
営業時間 11:00 - 19:00 (月休)
レセプション 2017.1.6(金) 18:00 - 20:00
作家在廊日 2017. 2.4 (土), 5 (日) 夕方から
 小野耕石(1979年、岡山県生まれ)は、シルクスクリーンの技法を駆使して生み出される無数のインクの柱が立ち並ぶ平面作品 Hundred Layers of Colors シリーズで知られる。手書きしたドットを版に起こし、それを単色で色を変えながら100回も丹念に刷り重ねることで高さ数ミリのインクの柱が立ち並んだ状態が生み出される。無数のインクの柱の集合体が見る側の位置の変化にともない色を妖しげに変え、魅惑的な視覚体験をもたらす。そして何よりも物理的な突起物が密集する様が触覚的で、作家の言うところの「ぞわぞわする」感覚を誘う。

 きっかけはある夏の夜、アトリエに飛び込んだ蛾をみて、その鱗粉の質感と名状しがたい色合いを、当時取り組んでいた版画で再現できないか、ということだった。規則的に描いた無機的なドットを、版を重ねることでインクの柱として立ち上がらせ、画面全体はヴェルベットのような質感といわく言い難い色合いを実現した。紙によって、あるいは刷るときの温湿度に影響されるインクの粘度によって生まれる微妙な変化が、画面としては刷ムラやズレといった個体差となって作品ごとの表情を生み出していた。シルクスクリーンという複製技術を用いて、その特性を限界まで強調した結果、版を重ねるごとに生じるわずかな差異によって逆説的にに一点ものの個別の作品を生み出している点がユニークだ。約10年かけて探求されてきた小野のこの技法は、作品「Hundred Layers of Colors」(750×900㎜×15枚)が2015年のVOCA賞を受賞するという形で、その独自性が評価された。

 VOCA受賞後、初めての本格的な個展となる本展では、Hundred Layers of Colors シリーズ最新作を展示する。小野にとって新たなステージへと脱皮をはかるチャレンジとなった。小野は同じ技法をこれまでと同じように繰り返し用いながら、まったくこれまでとは異なる印象の作品を完成させている。画面に現れる色彩はより鮮やかになり刷りムラなどからくるモアレのような現象のバランスからも平面作品としてみるときの印象はより強いものとなった。使用するインクの色の数、色の層の順番や刷り重ねる回数などの工夫から、これまででは見えてこなかった色やその鮮やかさを獲得した。計り知れない試行錯誤の繰り返しの果てに作家がたどりついた創作の新たな地平とでもいうべきかもしれない。改めて版によって色を重ねるということと、それを見せられるようになったことで、小野のさらなる飛躍に期待が高まる。


Hundred Layers of Colors. 109
(下の画像は作品の一部を接写したものです)

Hundred Layers of Colors. 111

Hundred Layers of Colors. 120

<展示方法について>
小野耕石の作品は、平面に立体性も含んでおり、作品内に「影」の要素が取り込まれる。神奈川県民ホールでは、展示台の上に作品を置き、床と作品が平行に展示されていた。
(photo by 青地大輔)

今回のアートフロントギャラリーの個展では、作品を壁に設置し、より絵画的な見せ方を提示。
私たちが見ている景色が、時間帯や天候で違って見えるように、小野の作品も角度や光によって様相を変える。いろいろな展示方法を取り入れるのは、「まだ作家本人が気づいていない作品の可能性を探っているから」と語る小野。今後の展開にもご期待ください。

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