展覧会Exhibition

木村崇人 個展 - テーブルの上/下から

  • 木村崇人 個展 - テーブルの上/下から

サムネイルをクリックすると、拡大表示します。

木村崇人 個展 - テーブルの上/下から

2015.1.9(金)- 2.1(日)

アートフロントギャラリーでは2015年1月9日(金)から2月1日(日)、木村崇人の個展を開催します。
是非お越しください。
日程 2015.1.9(金)- 2.1(日)
営業時間 11:00 - 19:00 (月休)
会場 アートフロントギャラリー(代官山)
レセプション 1月9日(金) 18:00~20:00
作家在廊日 1/16, 17, 18, 30, 31, 2/1
 木村崇人は「地球と遊ぶ」をテーマに作品を展開してきた稀有な作風のアーティスト。もともと「見えないものを見せる」ことをテーマとしていたが、世界中誰もの共通言語である「地球」や「自然」の力を視覚化することで、誰もが知識として「知っている」と思っていることと実際の科学現象と認識のずれを、視覚だけではなく、実際に体で感じさせる作品を中心に展開してきた。例えば木もれ陽というものを多くの人は言葉として知っているであろうし、見たことがあるという人が多いであろう。しかし実際に何をどう知っているかは人によって異なる。実は木々の葉っぱがどんな形であっても、太陽が丸い限り、木もれ陽は必ず円形なのだが、ここから木村は代表作のひとつ、「木もれ陽プロジェクト」を継続的に発展させている。最近では地上50mのクレーンを使って、森の上に巨大な星形の光源を設け、星形の木もれ陽を作り、観客に網のようなものを持たせ木もれ陽を掬い取らせたりする。科学の実験のような場に遊び感覚で立ち会わせるのだ。
 木村崇人とはこれまで幾度もその仕事に関わってきた気がする。といっても、直接接点があった訳ではなく、越後妻有や瀬戸内、市原などで作業現場が近かったせいもあって、時間があれば作家の製作現場に立ち寄って説明を聞いたりしてきた。自然の中で自然の現象を見せることでいつも面白い活動をされ、体験型という現代のアートの潮流にも乗っている素晴らしいアーティストだと思ってきた。一方で、最もこの作家にふさわしい「自然」という素材が「美術」を展示する場であるギャラリーや美術館から縁遠く、また現代アートはどうしても都市を基盤にしがちなものだからなのか、なかなかアーティストとしての輪郭がこの作家から見えてこないのが残念に思ってきた。もちろんそこがこの作家の類稀なところであると認めつつも、恐らく体感型作品という作風も手伝って作り手とパフォーマンスのような作品、そして自然現象が混然一体となって観客に見えることが、目の前の現象がある形をとりながらも、物体として、結実した作品として見えてくることを困難にさせるのであろう。
 こうした活動をしてきた作家の作品を一度ギャラリーの空間に囲い込むことで、作家が不在でありながら彼の作った装置、つまり現象を見せるための作品を展示したいと長らく思ってきた。作品をものとして客体化すること、つまり体験すべき自然現象ではなく、そこにある現象を見せる装置を作品として見せることが今回の展覧会の意図である。木村崇人の作品は、ともすれば自然の現象のようである。しかし、アートは必ず作り手が必要で、自然が現象としてそこに勝手にあるわけではなく、自然の力を観客の前に引き出すアーティストとしての強い力がそこにはある。そうした作り手としての木村崇人の魅力を今回の展覧会は見せてくれるであろう。
アートフロントギャラリー 近藤俊郎

トップに戻る