展覧会Exhibition

畠山耕治 -  青銅-壁と器
「青と緑の間」(部分) 、青銅鋳造、35×1960×35mm、2013年

  • 畠山耕治 -  青銅-壁と器

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畠山耕治 - 青銅-壁と器

2013.3.15 (金) 18:00 - 3.31 (日)

この度、アートフロントギャラリーでは畠山耕治個展「青銅-壁と器」を開催致します。

日程 2013.3.15 (金) 18:00 - 3.31 (日)
営業時間 11:00~19:00 (会期中 月曜休廊) (初日はレセプション時より開催)
会場 アートフロントギャラリー
オープニングレセプション 3月15日(金) 18:00~20:00
青銅鋳造による独自の現代的な造形表現で注目を集める畠山耕治。
簡潔で端正なフォルムと青銅の持つ成分から引き出された多彩な錆色が作品の表面に奥行きの深い柔らかな表情をたたえる。

畠山耕治:青銅、その先へ

青銅自体が持つ素材の意識と表情を自在に引き出し、雄弁に語らせてきた畠山耕治。鋳造という、複雑な形状をつくることができる技法を用いながら、余分な要素をそぎ落としたシンプルで端正なフォルムの立体を立ち上げ、その表面に青銅ならではの色彩とテクスチャー、そして深い余韻を漂わす作品を手がけてきた。
今日、現代作家の多くは、様々な素材を時と場合に応じて自在に取り入れる。しばしば「ミクストメディア」という表記で括ることから明らかなように、素材を自らのコンセプトの具現化に供した材料一式として捉える。畠山は、自身の身体を通して素材(青銅)のDNAを引き出し、その可能性を語らせることを第一義的に考えて制作を行ってきた。この態度ゆえに、そして金工あるいは工芸の作家というラベルのもと、いわゆる「現代美術」の領域において彼の仕事が注目されることは少なかった。30年以上もの間、青銅が持つ意識を掘り起こし造形化しようと全神経を傾けて取り組む畠山の態度は極めて禁欲的なものに感じられるかもしれない。しかし、そこから生み出されてきた彼の作品は、決して単調ではない。ひとつひとつの制作の意味/理由をある距離を持って思索し、突き詰めようとする眼差し/身振りは、その作品スタイルに、振り子のように興味深い幅と奥行きをもたらした。
今、作家として、また1人の人間として、ひとつの区切りに立っていると畠山は自覚する。そのただ中で彼が作り出した今回の展示の核となる作品《青と緑の間》は、今後の畠山の表現の可能性をさらに押し広げるものである。約2メートルの長さを持つ角棒状の青銅作品は、中央に僅かにふくらみを持たせて両端がすぼみ、微妙な反りを浮かべながら、我々の目線の高さの壁に在る。かつての刀匠が持てる技術と精神、美意識を結晶化させた槍や刀、そしてそれがある空間をイメージした、と畠山は筆者に語った。壁を一文字に切り裂き、別の時空を出現させたかのように不思議な緊張感に満ちた青緑のラインは、一振りの太刀風のように眼前の空気を揺らし、見る者の身体を揺さぶるであろう。

吉岡恵美子
金沢21世紀美術館 キュレーター

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