展覧会Exhibition

祐成勝枝 - My garden

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祐成勝枝 - My garden

2011.1.18(火) - 2.6(日)

みずみずしい植物の向こうから、多彩な光が射してくるような世界をつくりだした祐成勝枝の新作個展を開催します。
日程 2011.1.18(火) - 2.6(日)
営業時間 11時より19時 (月休)
作家在廊日  1/22(土)15:00-17:00

「祐成勝枝の空間割り」

祐成勝枝の作品がここのところ新しい様相を見せている。それはこれまで祐成の世界を取り巻いていたもの、つまり祐成の絵画の主題となるものが少しずつ変化してきたからではないかと思った。変化というよりは凝縮、あるいは昇華といったらよいだろうか。画面は区画整理のように割りつけがなされているか、あるいはたっぷりの余白のなかに、半ば装飾化されてはいるがみずみずしい植物が配置されているか。もう一種ある。 埋めつくすように全面に拡がる枝葉(図)は、まるでシルエットのようで、その背景(地)から多彩な光が射してくるものである。最新の作品群を見て、おおむねこの三つの要素が表れてきたと思った。
祐成のアトリエは住居から車で90分ほどの山の中にある。祐成の日常はこのアトリエに通い、制作に没入しつつ、野外の小さな借地にしつらえた菜園で野菜や草花を育てることである。大地との対面は祐成の絵画制作に多くの刺激を与えていると思われる。
最初に述べた、区画整理のような、といったタイプの作品は、率直に耕作地の割りつけを思わせる。それは大きな田圃のように幾何学的に精確に区切られたものではなく、不定型な矩形の連なりからできている。実際の祐成の菜園もそのとおり、植物の領域は気ままに入り交じり多方向に拡がっている。
祐成は大地にドローイングするように植物の区画をつくり、白い画面を耕し種まくように線描と色彩とで埋めていくのである。あふれるほどの水分を含んだ筆は線を引くというより淡い色彩そのもので面を構成していく。ときには背景が面で塗り尽くされ、そこに植物の形態が浮かび上がる図と地の逆転もある。土と光と水から植物が育つことの証明であるかのように、画面は光に満ち絵具は輝いている。いわば大地と画面とを往復することで、農作業と絵画制作が緊密な連携をとり祐成の新しい世界が表れてきたのだろう。

(フリーランス・キュレーター 真武真喜子)

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