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カイト サイコ - ici et la -

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カイト サイコ - ici et la -

2010.9.7(火) - 9.26(日)

カイトサイコの小立体シリーズによる新作個展を開催致します。
一見、作家の活動拠点であるフランスのこどもたちかと思う人物像は、様子が寂しげで、どこにも帰属しえない人物たちのようです。それは「インターナショナル」「グローバル」などといった普遍性とは関わりのない、人間が持つ私的な一面が表現されているように感じられる作品群です。誰でもない人間というモチーフを、見る者に受け入れさせるカイトサイコは、今の日本の美術界のメインストリームとは根本的に違う地点を見据えているようです。その作品は、いま当然と思っている場所も本当はここではない場所にあるという、軽い警告を発しているのかもしれません。
アートフロントグラフィックスでの発表は、2008年6月に開催しましたグループ展以来、2年振りとなります。この機会にぜひご来場ください。
日程 2010.9.7(火) - 9.26(日)
営業時間 11:00 - 19:00 (月休)
イベント オープニングレセプション 9/7(火)18:00-20:00
作家在廊日 9/7(火)レセプション、10(金)・11(土)・23(木)・24(金)いずれも14:00より
関連情報 高山市 Cafe Bird においても 9/15-26 までカイトサイコ個展を開催しています。
http://cafe-bird.com/map.html

カイトサイコは1974年飛騨高山に生まれ、女子美術大学を卒業。その後渡仏して彫刻を学び、パリを拠点に活動している作家です。これまで日本では、どこかに実在していそうでどこでもない「地平線」の風景を描く作家として紹介される機会が多く、その透明感のある平面作品は根強いファンを得てきました。
しかし一方で、制作のベースラインに立体表現があることは忘れられがちでありました。作家は昨年から、粘土を素材にこどもの姿を表現する小立体シリーズを精力的に制作しはじめています。このこどもたちは一見、作家の活動拠点であるフランスのこどもかと思うのですが、様子が寂しげで、どこにも帰属しえない人物たちのように感じられます。これまで描いてきた地平線と同じように、どこにあっても誰であってもよい、「インターナショナル」「グローバル」などといった普遍性とは関わりのない、人間が持つ私的な一面が表現されているように感じられるのです。
作家の制作拠点であるパリは19世紀末から20世紀初頭にかけて多くの文化人が集まり、モダニズムの中心地となった歴史があります。それはパリというひとつの町を、スペシフィックな核にした文化でありましたが当時の周辺世界と比べると、顕著な多様性と無国籍性が特徴でもありました。あるいはパリには、そうした文化の基盤がまだあるのかもしれません。それを日本に持ち帰り、違和感も摩擦も生み出さず、どこでもない風景・誰でもない人間というモチーフを見る者に受け入れさせる作品をつくり続けるカイトサイコは、今の日本の美術界のメインストリームとは根本的に違う地点を見据えているようです。それは作家が大多数の人と共有すべき場を失っているのではなく、いま当然と思っている場所も本当はここではない場所にあると、軽い警告に似たものを発しているような気がしてなりません。
アートフロントグラフィックスでは2008年6月に開催しましたグループ展出展以来、2年振りの発表となりますこの機会にぜひご来場ください。

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